日本農村医学会雑誌
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報告
岐阜県中濃地域の救急医療体制
――地方都市の救命救急センターの検証――
林 勝知上田 宣夫森 茂三鴨 肇山田 敦子島田 武
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2007 年 56 巻 1 号 p. 7-10

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抄録

 中濃厚生病院救命救急センターとして,岐阜県中濃地域の救急医療体制の検証を行なったので報告する。検証結果 : 当救命救急センターの年間の総救急患者数は約2万人で,重症度別にみると,一次が約90%と多い。また,救急車搬送による救急患者のうち,最近4年間では,急性心筋梗塞及び脳卒中等の重症救急患者の中濃医療圏の他の病院からの紹介,転送が増えてきている。当救命救急センターに軽症から重症までの救急患者が集中していると検証された。そこで,中濃地域の救急の協議会等で病診連携や二次病院の救急診療の役割分担を要望していたところ,平成18年5月頃から他の二次病院の救急車受け入れは,少しは改善した。一方,夜間,休日に直接来院する軽症患者が多いため,軽症例については,開業医の受診を奨めている。オフラインメディカルコントロールとしては,(1)中濃消防組合の救急救命士に対する包括的指示下の除細動のトレーニングを8時間,(2)中濃消防組合の救急救命士でない一般の救急隊員約120名には一次救命処置,自動体外式除細動器のトレーニングを8時間,(3)気管内挿管の研修を5名の救急救命士に行なった。いずれも消防組合からの評価は高かった。オンラインメディカルコントロールとしては,50%程度の対応であった。今後も継続的に中濃地域の救急医療体制の整備に取り組む必要があると思われた。

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© 2007 一般社団法人 日本農村医学会
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