日本農村医学会雑誌
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綜説
メタボリックシンドロームの疾病概念とその対策
塩飽 邦憲山崎 雅之岩本 麻実子池西 瑠美米山 敏美李 麗梅王 莉乃木 章子
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2007 年 56 巻 4 号 p. 605-617

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抄録

 インスリン抵抗性 (インスリン依存性糖取り込みの障害) や内臓肥満を有する人に高インスリン血症,高中性脂肪血症,低HDLコレステロール血症,高血圧が重積することが知られてきた。これらの代謝異常を重積した人は,心血管疾患に罹患しやすいことから,世界保健機構は1999年にこうした病態をメタボリックシンドロームと名付け,その予防を推進している。2005年に国際糖尿病連盟や日本内科学会などは内臓肥満をコア病態とした新しいメタボリックシンドロームの診断基準を発表した。日本では2008年 (平成20年) 4月より健康保険組合を実施主体としてメタボリックシンドロームの特定健康診査と特定保健指導を行なうことになった。欧米の糖尿病学会はメタボリックシンドロームのコア病態をインスリン抵抗性としているため,日本人向けの新しい診断基準の活用について保健医療現場での混乱が広がっている。このため,メタボリックシンドロームの疾病概念とその成立過程,病態と診断基準についての問題点,実施にあたっての課題を概説した。

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© 2007 一般社団法人 日本農村医学会
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