日本農村医学会雑誌
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原著
腹腔鏡下胃切除における費用効果の調査研究
川村 秀樹近藤 征文本間 重紀岡田 邦明石津 寛之益子 博幸秦 庸壮田中 浩一山上 英樹横田 良一渡会 博志横田 健太郎角田 佳彦安達 武彦
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2008 年 57 巻 4 号 p. 619-627

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抄録
 腹腔鏡下胃切除術は多くのディスポーザブル製品を使用するため,請求可能な材料費を上回る分の使用する材料費が開腹胃切除に比べて大きいといわれている。そこで腹腔鏡下胃切除におけるコスト面での問題を調査するために開腹胃切除と腹腔鏡下胃切除において使用した材料費の合計,手術料および入院費を比較した。
 2007年8月から11月に当院で施行した幽門側胃切除 (開腹: ODG5例,腹腔鏡下: LADG5例),胃全摘 (開腹: OTG5例,腹腔鏡下: LATG5例) において手術材料費,手術料,入院費用 (診療収入+入院料) を調査した。胃切除術による利益=胃切除の手術料-(使用したディスポーザブル製品の材料費-請求可能なディスポーザブル製品の材料費) とした。材料費は定価を用いた。
 手術利益はODGが278,756.2円,LADGが190,292.8円,OTGが395,922.6円,LATGが330,653.6円となった。平均入院費用 (診療収入+入院料) はODGが1,390,464円,平均入院期間は21.4日であり,1日あたりの平均入院費用は65,140.0円であった。それぞれLADGでは1,484,254.0円,18.8日,80,805.4円,OTGでは1,956,664.0円,24.4日,82,397.1円,LATGでは1,686,936.0円,18.4日,91,894.8円であった。
 腹腔鏡下胃切除は開腹胃切除に比較して手術費は高いが手術による利益は少ない。現状では十分なコスト削減対策が必須である。全入院中の入院費は必ずしも高くならないが在院日数が短いため1日あたりの入院費は高い。
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© 2008 一般社団法人 日本農村医学会
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