日本農村医学会雑誌
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症例報告
救命可能であった仙骨部褥瘡に起因した壊死性筋膜炎の2例
長谷川 毅三宅 孝
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2011 年 59 巻 6 号 p. 737-743

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抄録
 壊死性筋膜炎は急速に進行する致死性の高い疾患で,基礎疾患として糖尿病が多い。今回,仙骨部褥瘡に起因した壊死性筋膜炎で,広範囲の切開排膿,洗浄ドレナージとデブリードマンを行ない救命できた症例を2例経験したので報告する。症例1は74歳男性で,既往歴に糖尿病とうつ病を認めた。症例2は82歳男性で,既往歴に糖尿病,脊椎損傷による対麻痺,仙骨部褥瘡を認めた。いずれも壊死性筋膜炎発症早期に臀部と背部の広範囲の切開排膿,洗浄ドレナージとデブリードマンを行ない,広域スペクトルの抗菌薬投与で救命できた。また術前の全身状態,糖尿病などの基礎疾患や術後の創部からの蛋白漏出により,術後に栄養状態が著明に悪化したため,糖尿病のコントロールとそれに伴う栄養管理で栄養状態は改善した。活動性低下に対しては,体圧分散寝具の使用,体位交換やリハビリテーションが創の早期改善のために必要であった。
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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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