抄録
3,3’-(メチレン-1,4- ジフェニレン)ビス(3,4- ジヒドロ-2H-1,3- ベンゾオキサジン)(P-d 型ベンゾオキサジン,P-d)が異なる2種の手法によって強靭化された。改質剤にN-フェニルマレイミド-スチレン交互共重合体(PMS)を用いたin situ 重合法による強靭化では改質剤のラジカル重合がベンゾオキサジンによって阻害されたため,強靭化が達成されなかった。そこで,ビスフェノールA ジグリシジルエーテル(DGEBA)をPMS のラジカル重合の媒体として用いた手法を考案したところ,硬化物中に相分離構造が得られ,破壊靭性値(KⅠC)が55%向上した。また,添加するモノマーの溶解度パラメーター(SP 値)に着目してn- ブチルメタクリレートやスチレンを選択したところ,ベンゾオキサジン存在下でのin situ 重合法による強靭化も達成され,最終的にはポリベンゾオキサジン特有の高い曲げ強度を損なうことなくKⅠC が43%向上した。