日本農村医学会雑誌
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原著
地域在住の前期高齢者と後期高齢者におけるQOL関連要因の比較
谷口 奈穂桂 敏樹星野 明子臼井 香苗
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2013 年 62 巻 2 号 p. 91-105

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抄録

 地域在住の高齢者のQOLを健康関連及び主観的QOLの両側面から評価し,その関連要因を前期高齢者と後期高齢者で比較した。2009年,京都府K市の老人クラブの929人に質問紙調査を実施し,596人を分析対象とした。調査項目は基本属性,健康状態,生活習慣,社会的交流,QOL (PCS,MCS,LSIK) で,多変量解析等を行なった。前期高齢者において,QOLの上昇要因はPCSでは主観的健康感や外出頻度等,MCSでは性別や隣人と挨拶をする頻度,LSIKでは経済的なゆとりや睡眠時間であり,低下要因はPCSでは腰痛や隣人と手助けを依頼し合う頻度等,MCSではGDSや個人活動等,LSIKではGDSやしびれ等であった。後期高齢者において,QOLの上昇要因はPCSでは主観的健康感,MCSでは心疾患,LSIKでは経済的なゆとりであり,低下要因はPCSでは腰痛や心疾患,MCSではGDS,LSIKではGDSや腰痛等であった。高齢者のQOLを高める支援では,健康を高めること,抑うつ及び腰痛の予防的な対応や緩和を促す必要があると推察される。

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© 2013 一般社団法人 日本農村医学会
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