日本農村医学会雑誌
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原著
子宮頚部異形成患者に対するクリニチップ™を用いたHPV検出
池田 聡永田 千草島袋 剛二鈴木 恵子
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2014 年 63 巻 1 号 p. 29-34

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抄録

 子宮頚部癌の原因はHPV (ヒトパピローマウィルス) 感染であり, とくにハイリスク型のHPVの持続感染がこの癌の発生に関与することが知られている。当院では2011年暮れよりHPVジェノタイピング検査を院内検査化した。検査が行なわれた111例について検出傾向をまとめてみると, 16, 52, 58型が多く検出され, 18型は低頻度であった。この傾向は全国的な傾向と同様であった。高齢者では, 52, 56, 58型が多い傾向も明らかになった。細胞診陰性例と陽性例ではHPV感染率に差があるが, 細胞診陰性例と陽性例の中でHPVの型に差はなく, さらにHPVの重複感染は腫瘍の進展と有意な関係があった。  異形成のフォロー中の患者で, 細胞診陰性例ではハイリスクHPVが陰性化している患者も多く存在し, 日常診療でのフォローアップ頻度を軽減できる可能性があり, HPVジェノタイピング検査の併用が患者のトリアージに際し有用であると思われた。

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© 2014 一般社団法人 日本農村医学会
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