日本農村医学会雑誌
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研究報告
当院の将来像予測
人口動態予測と退院患者疾病構造から当院の入院患者を推察する
神谷 公江鈴木 憲彦片田 直幸
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2015 年 63 巻 5 号 p. 753-757

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抄録
 当院が位置する豊田市は, 今後人口が微増し, 急速に高齢化が進む地域である。市民病院の役割を担う当院の将来像を, 「国立社会保障・人口問題研究所」が試算した「市区町村別5歳階級別データ」(平成25年3月推計)1)を使用し推察した。年少, 生産年齢, 前期高齢者, 後期高齢者人口の4段階に分け, 疾病構造については, 団塊の世代が全て75歳以上になる2025年に注目して分析を行なった。  豊田市の人口は, 2035年にかけて, 年少, 生産年齢は微減し, 前期高齢者は1.2倍, 後期高齢者は2.4倍に増加となっている。豊田市の後期高齢者の約12%が当院に入院しているため, 後期高齢者人口の増加とともに, 退院患者数も増加する。団塊の世代が全て75歳以上になる2025年を見ると, 産科疾患, 新生児疾患の患者絶対数は人口の減少とともに減少するが, 後期高齢者によくみられる, 新生物, 循環器, 消化器, 呼吸器, 外傷疾患の絶対数が増加すると考えられる。  当院の退院患者の約8割は豊田市民であり, 2025年の全退院患者推定数は約2万人である。2012年の平均在院日数を当てはめた場合, 病床利用率は105%となり, 病床が足りない状況が考えられ, 平均在院日数の短縮等の病床確保の対策が必要となる。
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© 2015 一般社団法人 日本農村医学会
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