2016 年 65 巻 2 号 p. 123-128
最近の高齢者肺炎の現状を理解するため下記の検討を試みた。対象は2010年4月から5年間の当科入院患者3,784名。 〔方法〕肺炎の診断と年齢で(65歳未満;若年群,65歳以上;高齢群)分類して解析した。 〔結果〕肺炎の入院患者は全体で718名(19%),年齢中央値は78歳。若年群は118名年齢中央値58歳であった。全入院患者に占める高齢群の割合は2011年には11%であったが2014年には20%に増加していた。死亡患者については高齢群が有意に多かった。(147名vs15名;p<0.05)在院日数の中央値では自宅退院,死亡群とも両群に有意差を認めなかったが,転院群では高齢群では中央値が48日であった。肺炎に関してはガイドラインが整備されており,特に高齢者では特別な加療を要する場合は多くないため,地域での病診・病病連携をIT化などでさらに強化し,一般病院・在宅での加療が可能にする必要がある。