日本農村医学会雑誌
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綜説
日本における訪問看護師のバーンアウト研究の動向と課題
病院看護師との比較から
柴田 滋子
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2016 年 65 巻 4 号 p. 729-737

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抄録

 訪問看護師におけるバーンアウト研究の動向を明らかにすることで,バーンアウト予防への一助とすることと今後の研究の方向性を検討することを目的とした。医学中央雑誌,CiNiiにおいて「看護」「訪問看護」「バーンアウト」をキーワードとして文献を検索し,このうち訪問看護においては8件の文献を抽出した。  これまでに明らかになっている訪問看護師におけるバーンアウトの関連要因は,個人要因,労働環境,職場内の人間関係と研修体制,職場外の要因,これらから派生すると考えられる責任感や負担感等の個人の認識,コミュニケーション技術等であった。バーンアウトを予防するためには,過度の労働による身体的負担を軽減するために効率よく働けるシステム作りと,過度な負担感や責任感を軽減する職場環境,そして自己の役割と成長を認識し,仕事(訪問看護)を肯定的に受け止められることが重要であり,今後は訪問看護の業務特性や困難感をふまえたうえでのさらなる研究と関連要因間の関係性を明らかにすることで,より具体的な対策に繫げていくことが必要であると考える。

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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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