日本農村医学会雑誌
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原著
秋田県南部にある地域医療支援病院にて脳ドックを受診した人の脳卒中発症確率(リスクスコア)と生活習慣(リスク因子)に関する研究
南部 泰士伏見 進
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2016 年 65 巻 4 号 p. 747-757

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抄録
 本研究の目的は,秋田県南部A地域医療支援病院で脳ドックを受診した人のリスク因子(性別,年齢,BMI,喫煙歴,糖尿病の有無,血圧値)とその合計点数であるリスクスコア(10年間で脳卒中を発症する確率と血管年齢)を算出し,脳ドック受診者の一次予防行動の推進のための基礎資料とすることを目的とした。  対象は平成21年4月1日から平成25年8月30日までの間に,秋田県南部A地域医療支援病院で脳ドックを受診した40歳から60歳の男女1,426人(男性798人56.0%,女性628人44.0%)である。  リスクスコアを属性で比較した結果,性差は無かったが,女性において,未破裂脳動脈瘤「有」の人のリスクスコアが「無」の人より高値であった(「有」29.0±8.3,「無」22.0±8.9,p⁢0.001)。また,未破裂動脈瘤を有する男性,女性共に各リスク因子の点数(年齢,BMI,喫煙歴,糖尿病,血圧)が高値であった(p<0.001)。  脳ドック受診者のリスクスコアの算出は,脳ドック受診者の喫煙率や糖尿病の有無,肥満,血圧値に関する個人の生活習慣を把握することにつながり,一次予防行動を推進するための保健指導の根拠となるという有用な知見を得ることができた。
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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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