日本農村医学会雑誌
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症例報告
食物によるアナフィラキシーに対してアドレナリン自己注射製剤が奏功した体重15kg未満の1男児例
大谷 清孝藤本 まゆ稲垣 瞳
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2016 年 65 巻 4 号 p. 862-867

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抄録

 アドレナリン自己注射製剤(以下エピペン®)は,15kg未満児には原則禁忌であるが,生命の危機に直面している緊急時に用いる場合はこの限りではない。今回,乳製品の誤食によりアナフィラキシーを認めた15kg未満児に対して,エピペン®が奏功した1例を経験した。症例は2歳男児。乳によるアナフィラキシー既往が3回あり,体重が12kgであったため,保護者の同意を得て,エピペン®を処方していた。家族旅行中に乳製品の誤食直後から,咳嗽,膨疹,呼吸苦,嗄声,意識低下を認めた。母親がアナフィラキシーと判断し,エピペン®を使用した。使用後は徐々に軽快し,救急車にて医療機関へ搬送となった。搬送時は蕁麻疹が残存しており,抗ヒスタミン剤とステロイド薬を投与後,入院となった。遅発性の反応を認めず,全身状態良好のため翌日退院となった。15kg未満児のアナフィラキシーに対してエピペン®が有効であったが,症例の蓄積が必要である。

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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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