抄録
近年の診療報酬では「在宅における褥瘡対策の推進」が重点項目のひとつとされており,難治性の褥瘡を有していても在宅生活を維持し,安心・安全で質の高い医療を提供することが求められている。
症例は脊髄損傷後に褥瘡を発生した2 例である。褥瘡外来にて褥瘡の状態をアセスメントし処置方法を検討していたが,数年間治癒しなかった難治性の褥瘡であった。両症例とも車椅子に自力移乗し乗用車を運転するなど,日常生活自立度B ランクであったため,褥瘡処置は本人に委ねられていた。
今回,「在宅看護訪問管理料」の新設を受けて,皮膚・排泄ケア認定看護師が訪問看護師に同行し協働した結果,褥瘡が改善・治癒した。褥瘡外来では,把握困難な日常生活における治癒遅延要因の分析が可能となったことが理由と考えられた。