日本農村医学会雑誌
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研究報告
急性期病院の看護師がメンタルヘルスに不調を感じたときの状況
國井 享奈野村 智美高山 裕子世良 喜子
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2017 年 66 巻 1 号 p. 27-37

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抄録

 看護師としてメンタルヘルスに不調を感じたときの心身の状況とその時の具体的な出来 事を明らかにすることである。A 病院に勤務する全看護師204人に対し質問紙調査を行なっ た。調査内容は, 1 )個人属性, 2 )看護師がメンタルヘルスに不調を感じたときの心身 の状況, 3 )看護師の仕事上のメンタルヘルスに不調を感じた具体的な出来事の自由記載 である。Krippendorff の内容分析を参考にして163名の有効回答を分析対象とした。看護 師がメンタルヘルスに不調を感じたときの心身の状況は,ひどく疲れた77.3%,だるい 62%,不眠,憂うつだ,何をするのも面倒だ,が半数以上の回答であった。メンタルヘル スに不調を感じた出来事の具体的な状況, 1 .労働環境に関わる状況81件は, 1 )時間外 勤務, 2 )業務内容がストレス, 3 )夜勤回数, 4 )新しい環境にストレス, 5 )仕事上 のミス, 6 )配置への不安, 7 )業務への不安, 8 )とれない公休・有給休暇, 9 )育児 との両立,10)役割過重,11)自信喪失,12)ストレスの場面のフラッシュバック,13) トラウマ,14)看護質が低いに分類された。2 .人間関係に関わる状況35件は,15)上司 がストレス,16)同僚がストレス,17)先輩の態度,18)先輩がストレス,19)上司の暴 言,20)医師の言動,21)患者に陰性感情,22)産休後の部署の変化,23)同僚の暴言, 24)先輩の暴言,25)同僚師長の職務放棄,26)後輩の態度,27)他職種との連携,28) スタッフへの指導であった。対人関係より労働環境の記述が多かった。

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© 2017 一般社団法人 日本農村医学会
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