日本農村医学会雑誌
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66 巻 , 1 号
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原著
  • 三井 千鶴, 三浦 崇則, 大嶽 典子, 山田 賢一, 橋 彩香, 大場 光華, 豊嶋英明 豊嶋英明, 浦田 士郎
    2017 年 66 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     この研究の目的は,病院組織と職員との一体感に関する現在の問題を組織アイデンティティの視点から取り組む試みの意義を調査するために行なった。最初に職員が院長と直接話す機会を持つという研修計画を実施した。次に院長が職員に対して,当院の創立の背景及び歴史,当院の基本理念,当院のビジョンおよび地域における役割について話した。さらに我々は,2012年11月から2013年9 月まで職員(n=894)にアンケート調査(1~5段階のリッカート尺度を用いた7 つの質問)を実施した。回収率は80.3%であった。院長と職員の直接的な対話により,病院の歴史に関する職員の理解度,病院の基本理念に関する職員の共感度,病院の方向性に関する職員の理解度および地域への役割に関する職員の理解度は対話前に比し有意に向上した。また,約9 割の職員が当院創立の背景を理解し,方向性(ビジョン)を理解し,基本理念に共感し,そして地域に対する当院の役割を理解したことを確認できた。因子分析により7 つの質問から2 つの因子(“組織アイデンティティ”と“組織と職員の一体感”)が抽出された。更に質問の回答内容を内部一貫法で検証した結果,質問紙調査票の質問内容は妥当であった(Cronbach のα係数=0.837,0.670)。結論として,院長と職員の直接的な対話の機会は,職員に対して組織文化あるいは組織アイデンティティを浸透する手段として極めて有用であったことが示された。
  • 木内 千晶
    2017 年 66 巻 1 号 p. 9-20
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     高齢者医療制度はさまざまな変革を遂げ今日の療養病床再編に行き着いている。入院患者の高齢化や重度化などにより療養病床の看護職への負担が増える中,高齢者看護の質を向上するためには,療養病床に勤務する看護職が疲弊せずモチベーションをもち働ける環境をマネジメントすることが必要である。そこで,ワークモチベーションの概念の中でも職務への意欲や態度を表す職務関与に着目し,職務関与因果モデルを構築し療養病床に勤務する看護職の職務関与の影響要因を明らかにすることを研究目的とした。  岩手県内の療養病床に勤務する看護職に質問紙調査を実施し257名(有効回答率45.1%)の女性看護職を分析対象とした。調査には,職務関与測定尺度(義村),JDS(Job Di agnos tic Survey)尺度(Hackman & Oldham),職務満足の質問項目(Stamps, Herzberg を参考に新たに作成)を使用した。共分散構造分析により職務関与の影響要因を内発的動機づけ,外発的動機づけという視点から検討した。その結果,内発的動機づけである職務特性の影響が大きいことが明らかになった。その中で影響が高かった要因はフィードバックであり,影響が低かった要因は自律性であった。療養病床の看護職の職務関与に働きかける看護管理方法として,自分の仕事の成果を認識できるフィードバックを促進することが有効であると示唆された。
  • 島袋 剛二, 中村 玲子, 尾臺 珠美, 吉田 卓功, 塚田 貴史, 塗師 由紀子, 萬年山 悠, 郡 詩織, 西田 慈子, 北野 理絵, ...
    2017 年 66 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     右上腕外転位と両上腕中間位における婦人科腹腔鏡手術後の手の痺れの発生について後方視的に検討した。  左上腕は体幹に沿わせた中間位とし,右上腕は90度未満に外転した右上腕外転位での症例93例中,術後の右手の痺れが6 例(6.5%)にみられた。痺れの持続期間は術後1 日目まで4 例,21日目まで1 例,35日目までが1 例あった。両上腕を体幹に沿わせた両上腕中間位81例中,手の痺れは皆無であった。しかし,両上腕中間位後に導入した肩当て支持器の使用が原因と考えられる肩痛を4 例(4.9%)に認めた。肩痛の持続は術後1 日目まで2 例, 2 日目まで1 例, 3 日目までが1 例あった。肩当て支持器を使用しない右上腕外転位での肩痛の発生は皆無であった。  腹腔鏡手術後の手の痺れの回避には両上腕中間位が有効であるが,新たに発生した肩痛への対策が今後の課題である。
研究報告
  • 國井 享奈, 野村 智美, 高山 裕子, 世良 喜子
    2017 年 66 巻 1 号 p. 27-37
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     看護師としてメンタルヘルスに不調を感じたときの心身の状況とその時の具体的な出来 事を明らかにすることである。A 病院に勤務する全看護師204人に対し質問紙調査を行なっ た。調査内容は, 1 )個人属性, 2 )看護師がメンタルヘルスに不調を感じたときの心身 の状況, 3 )看護師の仕事上のメンタルヘルスに不調を感じた具体的な出来事の自由記載 である。Krippendorff の内容分析を参考にして163名の有効回答を分析対象とした。看護 師がメンタルヘルスに不調を感じたときの心身の状況は,ひどく疲れた77.3%,だるい 62%,不眠,憂うつだ,何をするのも面倒だ,が半数以上の回答であった。メンタルヘル スに不調を感じた出来事の具体的な状況, 1 .労働環境に関わる状況81件は, 1 )時間外 勤務, 2 )業務内容がストレス, 3 )夜勤回数, 4 )新しい環境にストレス, 5 )仕事上 のミス, 6 )配置への不安, 7 )業務への不安, 8 )とれない公休・有給休暇, 9 )育児 との両立,10)役割過重,11)自信喪失,12)ストレスの場面のフラッシュバック,13) トラウマ,14)看護質が低いに分類された。2 .人間関係に関わる状況35件は,15)上司 がストレス,16)同僚がストレス,17)先輩の態度,18)先輩がストレス,19)上司の暴 言,20)医師の言動,21)患者に陰性感情,22)産休後の部署の変化,23)同僚の暴言, 24)先輩の暴言,25)同僚師長の職務放棄,26)後輩の態度,27)他職種との連携,28) スタッフへの指導であった。対人関係より労働環境の記述が多かった。
  • 三浦 崇則, 大嶽 典子, 三井 千鶴, 山田 賢一, 橋 彩香, 大場 光華, 豊嶋 英明, 浦田 士郎
    2017 年 66 巻 1 号 p. 38-47
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     本研究は,当院の職員が院内の講演会や研修会へ参加する行為に影響を及ぼす行動因子を明らかにするために計画された。院内の講演会や研修会への参加状況および職員の背景因子について質問紙調査票による調査を行なった。78.7%の職員が過去1年間に1度は院内の講演会あるいは研修会に参加していた。医療安全および感染対策の研修会参加率はそれぞれ50.4%および38.4%であった。加えて,職種による参加率のバラつきが認められた。院内の講演会および研修会に参加する職員の行動は,結婚(既/未)や子供(有/無)の環境因子には影響を受けないことが示された。院内の講演会および研修会に参加したいという職員の意識は,研修内容に関する因子に強く影響を受けた。院内の講演会および研修会に参加したいという職員の思いは,煩わしさに関する因子が負の強い思いとして示された。  職員が院内の講演会や研修会へ参加する行為に及ぼす重要な行動因子は,結婚(既婚/未婚)や子供(有/無)といった職員個人の環境因子ではなく,職種や参加意欲といった医療人としてのプロフェッショナリズムであることが示唆された。
  • 吉岡 研之, 香取 陽子, 石川 みどり, 深澤 努, 田島 英雄, 清水 崇史, 井上 元保
    2017 年 66 巻 1 号 p. 48-54
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     SSI 予防の観点から手術中の抗菌薬は,加刀前60分の投与後は3~4 時間毎の投与が望ましい。当院では3 時間毎の抗菌薬投与が順守されるようにICT が介入し,介入前と介入後で抗菌薬投与の順守率に差が出るか否かを分析した。  対象は麻酔時間210分以上あるいは手術時間180分以上の手術症例435例とした。抗菌薬は加刀前60分以内に投与し,以後180分毎に追加投与を行なうものとして術中に正しく投与されていた症例を順守とみなし,その割合を調査した。ICT の介入は用紙と白板への時刻記載により主治医・麻酔科医・看護師に促すようにした。分析は, 1)科別, 2)介入の有無, 3)特殊な術式(内視鏡,腹腔鏡)について行なった。  全体の順守率は51.0%であり,科別では,外科67.0%,整形外科27.1%,耳鼻科40.5%,産婦人科45.5%,泌尿器科37.5%であり,外科はその他の科よりも有意に高かった。介入前後の比較では介入前42.7%,介入後69.9%と介入後は有意に順守率が高くなった。また,内視鏡手術は25.8%とその他の手術(55.2%)よりも有意に低くなり,腹腔鏡手術は63.1%とその他の手術(47.3%)よりも有意に高くなった。  ICT の介入により抗菌薬投与の順守率は有意に改善した。しかし,それでも順守率が低い手術があり,その向上のためには,手術に関わるスタッフ全員が意識して正確な抗菌薬の追加投与を促すように努める必要がある。
症例報告
  • 柴原 弘明, 森田 清, 伊藤 裕也, 岡本 勝司
    2017 年 66 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     症例1 は33歳男性。背景に脂肪肝があり,肝S4病変はダイナミックCT では動脈相で病変は淡く染まり,門脈相・平衡相で高濃度を呈した。症例2 は57歳女性。背景に脂肪肝があり,MRI のT1 out-of-phase では肝S2病変は地図状を呈しhigh intensity,EOB 造影では病変には肝細胞相での取込みを認めた。2 症例とも異所性左胃静脈を認め限局性低脂肪化域と診断した。門脈を介さずに直接肝に流入する静脈血流が存在する場合,肝内血流不均衡により脂肪沈着や脂肪肝における低脂肪域などの実質変化を生じる。今回の2 症例とも画像診断で異所性左胃静脈による肝低脂肪化域と診断できた。背景に脂肪肝をもち,流入血管が確認できる低脂肪化域では生検や外科的治療を行なわずに経過観察でよいため,詳細な画像読影が望ましい。
  • 引間 高太, 長山 美貴恵, 宮田 純, 井上 卓
    2017 年 66 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     症例は関節リウマチの外来治療中の64歳女性である。インフリキシマブ,メトトレキセート,プレドニゾロンによる治療を受けていたが,2016年1 月下旬の胸部CT 検査で右中葉に浸潤影とすりガラス陰影を認めた(図1 )。同年3 月のCT では右中葉の浸潤影は改善したが,新たに右下葉に浸潤影とすりガラス陰影を認めた(図2 )。精査を目的として気管支鏡による経気管支肺生検と気管支肺胞洗浄を行なった。その結果,組織学的には器質化肺炎と診断されたが,気管支肺胞洗浄液より非結核性抗酸菌であるMy co bac te rium Avium が検出された。インフリキシマブを中止し,タクロリムス,クラリスロマイシン,ピラジナミド,エタンブトールを投与したところ右下葉の浸潤影とすりガラス陰影は改善した。
  • 加藤 健宏, 森岡 淳, 高木 健裕, 酒徳 弥生, 神野 孝徳, 堀 明洋
    2017 年 66 巻 1 号 p. 65-71
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     症例は54歳,BMI 32.6kg/m2の男性で,S 状結腸癌に対する開腹S 状結腸切除術1 年半後に発症した腹壁瘢痕ヘルニアに対し,Component Separation 法を施行した。術後皮下出血を合併したが保存的に軽快,皮下ドレーン挿入のまま9 日目に退院した。退院3 日後に高熱,下痢,傾眠傾向,腎機能障害で緊急入院。入院時ショック状態で,CT で皮下に液体貯留を認めドレナージを施行した。排液の塗抹所見でブドウ球菌(MRSA,TSST─1陽性)を認め,皮下貯留液への感染に伴うToxic Shock Syndrome と診断した。Van comy cin,Clindamycin,γグロブリン製剤の投与等を行ない集中治療管理とし全身状態が改善,24日目に軽快退院した。
  • 加藤 健宏, 森岡 淳, 高木 健裕, 酒徳 弥生, 神野 孝徳, 堀 明洋
    2017 年 66 巻 1 号 p. 72-78
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     症例は67歳の女性で,右腋窩のしこりを主訴に当科受診した。マンモグラフィー,超音波検査(US)で右腋窩副乳癌ないし潜在性乳癌の腋窩リンパ節転移を疑い同部位の針生検を施行し,浸潤性乳管癌と診断した。US,MRI,FDG-PET/CT で同側腋窩リンパ節転移を疑う所見を認めたものの,両側乳房内に原発乳癌を疑う病変を認めなかった。右腋窩副乳癌(cT2,N1,cStageⅡb)と診断し,C' 領域の乳腺を含めた局所広範囲切除,腋窩リンパ節郭清(levelⅡ)を施行した。病理組織学的所見は,腫瘍周囲にC' 領域の乳腺と連続性のない正常乳腺組織を認め,右腋窩副乳癌(充実腺管癌,pT2,N1(4/14),pStageⅡb)と診断した。術後補助化学療法,同側乳房および鎖骨上領域への放射線照射を行ない,術後18か月現在再発を認めない。
  • 友岡 健, 中尾 心人, 亀井 誠二, 鈴木 悠斗, 酒井 祐輔, 荒川 総介, 香川 友祐, 黒川 良太, 佐藤 英文, 堀川 よしみ, ...
    2017 年 66 巻 1 号 p. 79-85
    発行日: 2017/05/24
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     症例は56歳,女性。健康診断にて胸部X 線写真で右肺門部腫瘤影を指摘され当院紹介受診。胸部造影CT では,著しく屈曲蛇行,拡張した異常血管が,気管,両主気管支,右中間気管支幹の周囲を広範にとり巻き,最大径が20mm を超える多数の瘤状拡張部位を認めた。これらは気管支動脈の走行に一致し気管および気管支の圧排を認めた。気管支鏡検査では気管遠位から両側の主気管支にかけて粘膜下腫瘤様の壁外からの圧排と変形が連なるようにあり,気管支ファイバーの通過にて容易に変形した。左B 3 b+c 入口部には,光沢のある粘膜に覆われた赤色調の拍動性結節を認めた。気管支動脈瘤破裂のリスクを考慮し,コイル塞栓術を施行した。稀な症例であり文献的考察を加えて報告する。
  • 浅野 俊明, 尾関 和貴, 林 信行, 日比野 佳孝, 福山 隆一, 山田 祥之
    2017 年 66 巻 1 号 p. 86-90
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     症例は38歳女性。来院1 か月前に咳,夜間の寝汗を自覚。その後,両眼瞼浮腫を認めたため当院に受診。胸部CT では前縦隔~右上中葉にかけて10cm 大の腫瘤および両肺野の多発結節影を指摘。気管支鏡検査では気管膜様部にポリープ様結節があり,右B 3 入口部が腫瘤により閉塞。生検で縦隔原発大細胞型B 細胞性リンパ腫と判明した。血液内科で化学療法を施行。縦隔に腫瘍が残存しており放射線を照射したが,治療開始8 か月後に右小脳再発が判明。初診から17か月後に末梢血幹細胞移植を施行した。
短報
  • 島袋 剛二, 吉田 卓功, 尾臺 珠美, 塚田 貴史, 中村 玲子, 山内 郁乃, 佐藤 達也, 萬年山 悠, 郡 詩織, 塗師 由紀子, ...
    2017 年 66 巻 1 号 p. 91-94
    発行日: 2017/05/31
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡下子宮全摘術後の腟断端離開に対して考案した腟壁輪状二重切開閉鎖法が,低侵襲な修復術式として有用であった1 例を経験したので報告する。症例は子宮頸癌の未経妊・閉経後女性で,術後24日目に小腸脱出を伴う腟断端離開を認めた。骨盤内の感染徴候はなく,翌日に本術式を経腟的に施行した。腟内を生理食塩水で洗浄後に脱出小腸を還納し,腟断端手前の腟壁全周に輪状切開を2 列おき,腟を二重に縫合閉鎖した。術後3 日目に軽快退院となり, 5 年間のフォローアップで再発所見もなく経過良好である。本術式は腟腔が狭く,腟式操作が困難な未経妊女性には特に効果的であると思われる。
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