日本農村医学会雑誌
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原著
医療スタッフによるデータ分析を含む臨床研究の意義に対するスタッフ教育の必要性
三浦 崇則三井 千鶴大嶽 典子山田 賢一橋 彩香大場 光華豊嶋 英明浦田 士郎
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2017 年 66 巻 2 号 p. 109-117

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抄録

 当院の臨床研究者の不足は深刻であり,臨床研究を実施できる医療人の育成は職員教育の重要課題である。臨床研究基盤整備を目的とした臨床研究者養成のための教育が始められつつあるが,臨床研究の中心的役割を担うべき職員の臨床研究実施への関心度およびその教育へのニーズはこれまで明らかにされていない。  そこで本研究では,臨床研究の実施およびその教育に対する病院職員の関心度を調査することを目的とし,院内における横断的アンケート調査を行なった。当院の研修会に参加した職員894人に質問調査票を配布し718名(回答割合80.3%)より回答を得た。回答者のうち臨床研究経験者は24.9%,臨床研究およびデータ分析実施に関心を持つ職員は51.0%,教育の受講希望者は51.0%であった。特に,薬剤師,医師,管理栄養士,放射線技師およびリハビリ技師の関心が高かった。さらに,臨床研究およびデータ分析実施に関心のある職員は,30歳代および40歳代に多く認められ,ある程度臨床経験を得た後,職員としての仕事を中断することなく実施できる臨床研究環境が望まれていた。他方で,受講したい教育に関しては,統計処理方法が最も高く,ついで論文の書き方,統計ソフト使用方法,データ解釈方法,研究デザイン方法および研究題材の見つけ方などが挙げられた。  当院における研究に関する教育は臨床研究教育を軸に,データ分析を行なう職員にも教育プログラムが柔軟に提供される教育システムが病院職員にとって望ましいと考える。

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© 2017 一般社団法人 日本農村医学会
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