日本農村医学会雑誌
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研究報告
Meropenem の使用量と緑膿菌耐性率に関する検討
樋浦 一哉谷口 知明能登 数馬小原 秀治小林 龍渡辺 浩明
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キーワード: AUD, DDD, メロペネム, 緑膿菌
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2017 年 66 巻 4 号 p. 481-486

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抄録

 抗菌薬使用量の評価方法として, 多くの施設で世界保健機関(World Health Organization ; WHO)が推奨する抗菌薬使用密度(antimicrobial use density ; AUD)が用いられている。AUD には,WHO が設定している1 日平均投与量(DDD ; defined daily dose)を用いる。本邦において抗菌薬の標準的な投与量が海外と異なるため,DDDを用いた使用量評価に支障を来している可能性がある。そこで,カルバペネム系抗菌薬であるメロペネム(meropenem ; MEPM)の自施設1 日平均投与量(modified defined daily dose ; mDDD) を用いた自施設抗菌薬使用密度(modified antimicrobial use density ; mAUD)を算出した。また,mAUD と緑膿菌耐性率との関連性を調査した。2010~2016年度のAUD はそれぞれ5.9±1.4,7.0±2.9,8.2±2.3,6.8±2.1,7.3±2.2,7.0±2.1,8.0±3.0であり,mAUD は11.7±2.7,12.0±4.9,11.3±3.1,11.0±3.4,11.4±3.5,11.5±3.5,11.2±4.2であった。また,2010~2016年度の緑膿菌耐性率はそれぞれ35.1%,37.9%,10.0%,6.0%,22.6%,10.6%,10.0%であった。mAUD と緑膿菌耐性率の間に強い正の相関(P < 0.01,r=0.88)がみられた。mAUD は緑膿菌の耐性化をコントロールするうえで,有効な指標になることが示唆された。

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© 2017 一般社団法人 日本農村医学会
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