2017 年 66 巻 4 号 p. 509-514
65歳男性。来院1か月前から咳嗽が出現し,当院内科を受診した。画像にて右多房性胸水を認め,胸水は滲出性であった。膿胸,結核性胸膜炎,入院中に関節リウマチと診断されたことからリウマチ性胸膜炎などを疑った。抗生剤投与と胸腔ドレナージを行なったが,多房性のためドレナージ効果が不十分であった。胸水所見に有意所見無く,病状も改善乏しいため治療診断目的に胸腔鏡下右胸膜剥皮術,胸膜生検を施行した。
病理では好塩基性の変性と壊死が非常に目立つ組織で,リンパ球などの単核細胞の浸潤も認められ,非特異的慢性炎症の所見であった。全身ステロイド投与にて速やかに病状が軽快した事から臨床経過と合わせてリウマチ性胸膜炎と診断した。リウマチ性胸膜炎が疑われるが,膿胸との鑑別に苦慮する場合は,胸腔鏡下胸膜生検を積極的に行なうのが望ましいと思われた。