日本農村医学会雑誌
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綜説
本態性血小板血症の臨床像と治療
小林 禅沼沢 祥行新谷 周三
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2018 年 67 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
 本態性血小板血症(essential thrombocythemia: ET)の臨床像と治療について,特にCalreticulin遺伝子(CALR )変異に関する最近の知見を中心にまとめた。CALR 変異は,第9エクソンの蛋白質翻訳領域におけるフレームシフト変異であり,52塩基欠失(1型)と,5塩基挿入(2型)が代表的である。CALR 変異陽性 ETは,Janus kinase2 (JAK2 )変異陽性ETに比べ,若年発症で,男性の割合が高く,血小板数が多く,ヘモグロビン値,白血球数が少なく,血栓症発症率が低い。真性赤血球増加症への移行はない。CALR 1型変異陽性ETは,2型変異陽性ETに比べ血栓症,骨髄線維症への移行のリスクが高い。CALR 変異陽性 ETの標準治療はJAK2 変異陰性 ETの治療アルゴリズムに基づくが,CALR 1型,2型変異陽性ETの間で治療方針を変えるべきかに関してはさらなる検討が待たれる。
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© 2018 一般社団法人 日本農村医学会
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