抄録
本研究では,農村地域居住者の食習慣に注目し,生活習慣病予防事業における支援終了後,10年経過時の食習慣の実態を調査した。対象者210名に10年後の食習慣に関する調査票を郵送したところ,セミナー群53名(有効回答率54.6%),運動群56名(有効回答率49.5%)の計109名から回答が得られた。調査の結果,セミナー群および運動群で共通していたのは,果物の摂取頻度(セミナー群 p<.05,運動群 p<.01)が少なくなり,糖質の種類への配慮(セミナー群 p<.01,運動群 p<.05)がなされない傾向にあるということであった。これには,食品の手に入りやすさ,対象者の身体的心理的要因,居住環境要因,伝統的な食文化などの要因が関連していると考えられた。食事の規則正しさ,肉と魚の頻度など望ましい食習慣を維持した8項目は,対象者にとって取り組みやすく継続しやすい項目である可能性があると考えられた。また,一度望ましい生活習慣を身につけても,徐々に元の生活習慣に戻る可能性があるため,保健事業等で一定の効果が得られたとしても,その効果が生涯にわたり維持されるとは限らないと考えられた。