日本農村医学会雑誌
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看護研究報告
透析室における看護師と臨床工学技士による看護師教育の視点の相違
水野 忍奥村 恵子中野 路子
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2018 年 67 巻 4 号 p. 533-

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抄録

 新たに透析室に配属された看護師に対する教育を看護師と臨床工学技士が行なっている。指導する側の職種によって指導内容や優先度が異なり,指導を受ける看護師に混乱が生じ,指導者が困惑することが多々見られた。両職種の教育における視点が異なるのではないかと考え,看護師と臨床工学技士にアンケート調査を行なった。その結果,両職種間で指導内容のどの項目を重要と認識するかで大きな差がみられた。“基本的な機械操作”,“穿刺・シャントの観察”で,多くの看護師が重要としたのに対し,臨床工学技士でこれを重要とした者はわずかだった。このような両職種の教育における視点の差が,意見の異なる原因だった。
 看護師教育の視点で両職種に大きな違いがあったのは,教育の重要項目とその優先順位,看護師混乱時の対処方法であった。他職種が共同で行なうチーム医療は,透析室ならではの体制である。職種によって考え方や視点は違っても,少しずつ歩み寄ることは,今後の大きな課題である。お互いの特性をふまえてよく話し合い,質の高いチーム医療を提供できるよう,今後も協力して看護師教育を充実させていきたいと考える。

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© 2018 一般社団法人 日本農村医学会
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