日本農村医学会雑誌
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原著
正規介護職員の離職率と従来型・ユニット型の介護老人福祉施設における教育・研修の関連
田中 康雄
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2021 年 70 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

 本研究は,従来型・ユニット型の介護老人福祉施設で実施している勤続1年未満・以上における正規介護職員向けの教育・研修内容と体制を把握した上で,それらと正規介護職員の離職率がどのように関連しているかを明らかにし,今後の職場定着促進に必要な方策を施設形態毎に検討することを目的する。全国の介護老人福祉施設のうち無作為抽出した1,180か所を対象に郵送法による質問紙調査を実施した。離職率と研修内容の関連を重回帰分析した結果,従来型では勤続1年未満向けの内容のうちリーダー養成,勤続1年以上向けの内容の記録の書き方と報告の方法が離職率を高め,ユニット型では勤続1年未満向けの内容の介護技術・知識,体制の教育・研修の責任者の設置が離職率を抑え,勤続1年以上向けの内容の機能訓練に関する知識が離職率を高め,腰痛予防対策が離職率を抑える関連がみられた。今後,介護老人福祉施設においては,一律ではなく,施設形態別,勤続年数別に各施設状況に応じた教育・研修内容や体制について本研究結果内容を重点的に取り組み,内容や研修回数を見直し,経験や慣習ではなく,根拠に基づいた教育・研修実施による職場定着促進策の推進が重要になると考えられる。

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© 2021 一般社団法人 日本農村医学会
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