日本農村医学会雑誌
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物忘れ・認知症外来における臨床検査技師の関わり
─検査技師による診察前検査について─
佐藤 良美諸戸 昭代古市 千奈里田村 真子野々垣 禅浅井 俊亘左右田 昌彦
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2021 年 70 巻 2 号 p. 177-183

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抄録
 医師が診察時に行なっていた問診や神経心理学的検査を診察前検査として臨床検査技師が実施するようになった。診察前検査は精神状態短時間検査(MMSE),老年期うつ病評価尺度検査(GDS-15)を実施し,問診を行ない認知機能の補助診断的な検査を行なっている。2018年5月から2019年5月までに,診察前検査を行なった365名(平均年齢80歳,男性172名,女性193名)を対象とし,MMSEのカットオフ値を定めて,医師の臨床診断結果と比較し,技師の実施した検査の妥当性について検討した。当院ではアルツハイマー型認知症(AD)の割合が高く,認知症と診断された中でMMSEの結果も85%が23点以下であった。MMSEは認知症のスクリーニング検査としては信頼性の高い検査であり技師の実施においても同等の評価を得た。さらにGDS-15を併用することによって認知症外来の受診者には不安症状やうつ傾向の背景があることがわかった。今後も検査内容を検討しながら認定認知症領域検査技師として認知症外来へ関わっていくことが重要である。
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