抄録
本研究の目的は,看護管理者の情動知能的リーダーシップ行動を高めるために,筆者(古澤,2017)が作成した看護管理者の情動知能を含めた「リーダーシップ自己評価チェックリスト(38項目)」(以下チェックリスト)1)を活用し,チェックリストの活用の成果を検証することである。
研究方法は,A病院の看護管理者17名を対象とし,チェックリストの自己評価,個別面接調査を3か月毎に4回実施し,情動知能的リーダーシップ行動項目の得点の変化,研究対象者の語りの変化を分析する。その結果,情動知能的リーダーシップ行動項目の下位尺度得点の平均値の上昇が高値であった2事例について,個別面接調査の結果と統合し検証した。
事例11は情動知能的リーダーシップ行動項目の下位尺度得点の平均値が2ポイント上昇し,【スタッフとのコミュニケーションがうまくできない】ことを弱みとして意識し,【意図的に自らスタッフに働きかける】行動をとっていた。事例14は2.85ポイント上昇し,【自身のできていないことを捉え,行動変容する】ことを意識し,【スタッフが発言しやすい雰囲気作りをする】などの行動に繫がっていた。看護管理者に,チェックリストを活用し繰り返し自己評価を実施することで,情動知能的リーダーシップ行動項目の得点は上昇することを確認した。