日本農村医学会雑誌
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原著
発育期腰椎分離症患者における腰仙椎アライメントとSahrmann Core Stability Test による腰部モーターコントロール機能との関連性
芋生 祥之辰村 正紀飛田 広大武井 隼児横田 学万本 健生平野 篤
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2024 年 72 巻 6 号 p. 528-534

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抄録
 発育期腰椎分離症患者において,腰部モーターコントロール機能が不良で分節的安定性の獲得に時間がかかる場合がある。その原因として腰仙椎アライメントが関連し,前弯が強いほど腰部モーターコントロール機能が低下しており,分節的安定性の獲得に時間がかかると考える。しかしながら,我々が渉猟した限りそのような報告は見当たらない。そのため本研究では,発育期腰椎分離症患者の腰仙椎アライメントと腰部モーターコントロール機能との関連性を明らかにすることを目的に,偽関節を除いた急性期例66名を対象とし,単純X線立位腰椎側面像による腰仙椎アライメント(腰椎前弯角・仙椎傾斜角)とSahrmann Core Stability Test(SCST)による腰部モーターコントロール機能との関連性を検証した。SCSTの結果からLevel 2以下をL群,Level 3以上をH群と分類し,両群の腰仙椎アライメントを比較した結果,明らかな有意差は認めなかった。一般的に成人の腰椎分離すべり症患者においては大腿骨頭後方にある重心を維持しバランスを保持しようとするため,腰椎前弯角や仙骨傾斜角は増大するとされている。今回の対象は,若年かつすべりが無いため代償機転が働く必要がなくなり,腰椎前弯角や仙骨傾斜角が増強しなかったと推察する。そのため腰部モーターコントロール機能と腰仙椎アライメントには関連性がなかったと考える。
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© 2024 一般社団法人 日本農村医学会
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