日本農村医学会雑誌
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原著
シリンジ交換方法モデルによる0.3%ドパミンシリンジ交換後60分間のドパミン液注入量測定
─標準的シリンジ交換方法とオンオフ法およびダブル法の比較─
野村 浩柴山 健三
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2024 年 73 巻 4 号 p. 372-381

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抄録
〔研究目的〕ドパミンをシリンジポンプで投与する際に,シリンジ交換による薬剤投与量の減少は循環動態の変動を来す可能性があるため,いくつかの交換法が工夫されている。本研究は各交換法について,交換に要する時間,交換時の薬剤投与量を評価することにより,至適な交換法を検討することを目的とした。
〔研究方法〕実験Ⅰ:標準的シリンジ交換法とフラッシュ法でシリンジ交換にかかる時間をMann-Whitney U検定で評価し,シリンジ交換時におけるドパミン液未注入量を推定した。実験Ⅱ:ドパミンの一般的初期投与量である3.6ml/hと一般的標準投与量である6.0ml/hについて,オンオフ法およびダブル法でのシリンジ交換後から60分時までのドパミン液注入量を,標準的シリンジ交換での注入量との間で比較検討した。
〔結果・考察〕シリンジ交換時間では,標準的シリンジ交換法とフラッシュ法間に有意差は認められなかった。また,シリンジ交換時間内のドパミン液未注入量は,いずれの設定流量ともに0.1ml未満であった。設定流量3.6ml/hでは,注入開始して10分時にダブル法とオンオフ法で,注入時間30分と50から60分時ではオンオフ法のみで標準的シリンジ交換法に比較して有意に注入量が増加していた。一方,設定流量6.0ml/hではいずれの時間においても有意差が認められなかった。この理由として設定流量が高いと摺動抵抗の影響が小さくなる可能性が示唆された。
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© 2024 一般社団法人 日本農村医学会
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