日本農村医学会雑誌
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症例報告
繰り返し腸重積をきたした上行結腸脂肪腫に対して腹腔鏡手術を施行した1例:本邦報告47例の検討
鈴木 博也仲野 宏林下 宗平佐久間 芽衣金澤 匡司
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2024 年 73 巻 4 号 p. 382-389

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抄録
 症例は66歳男性。間欠的な腹痛を主訴に当院を受診した。腹部超音波検査で右側腹部に腫瘤とTarget signを認め腸重積が疑われた。後日CT検査,下部消化管内視鏡検査を追加したところ上行結腸に5cm大の脂肪腫を認めたが,腸重積は自然と改善しており外来で経過を見ていた。内視鏡治療も考慮されたが,サイズが大きいことから手術目的に1か月後に当科へ紹介された。その際CTを再検したところ腸重積が再燃していた。経口摂取可能で,排便も認め腸閉塞の症状がなく,腹痛も軽度であったことから外来での経過観察を継続し,待機的に腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した。術後は合併症をきたさず術後8日目に退院した。
 腸重積をきたした大腸脂肪腫の症例は比較的稀である。良性疾患であり,整容性に優れ,術後の回復も早い腹腔鏡手術の良い適応である。また腸重積をきたしていても,腸閉塞をきたしておらず,腹痛が軽度であれば,1~3か月程度の待機的手術も選択できると思われた。
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