抄録
症例は43歳の女性で2型糖尿病,Ⅴ型高脂血症,高尿酸血症などで当院通院中だった。ペマフィブラート,オメガ―3脂肪酸エチル内服により中性脂肪(TG:triglycerides)は概ね300~500mg/dL前後で推移していた。しかし,2023年夏頃から不規則な食生活となり,同年冬には糖尿病の悪化を認め,2024年2月の定期外来ではTG 4,926mg/dLへ増悪した。定期外来翌日昼から心窩部痛が出現し,市販薬で経過を見ていたが改善せず翌日当院受診。アミラーゼは53U/Lと上昇を認めなかったが,CTで膵頭部の腫大と膵周囲から連続する軟部影が直腸周囲腔右側まで認められたため重症急性膵炎と診断された。大量補液,メロペネム,ウリナスタチン点滴に加えインスリン持続静注,ヘパリン持続点滴を開始したところTGは低下し臨床症状は改善した。糖尿病コントロール悪化がTG上昇に関与し,急性膵炎が誘発されたと考えられた症例であり,その治療にはインスリン,ヘパリン持続静注が有用であった。