抄録
日中国交正常化から半世紀が過ぎ,高齢化した中国帰国者に対する在宅介護の検討は急務である。本研究は,介護提供者の支援経験から中国帰国者の在宅介護支援の問題や要望を明らかにすることを目的に,関東地方の中国語対応が可能な介護保険事業所94か所の事業所代表者等を対象とし,郵送法による無記名式質問票調査を実施した。分析対象は現在または2年以内に中国帰国者へ介護サービスを提供している17通とした。事業所の種類は「通所介護・地域密着型通所介護」8か所(47%),所在地は「東京都」が10か所(59%),中国語がわかる職員数は「1~5名未満」が13か所(76%)で最多であった。介護問題として,言葉や生活習慣の違いや経済困難を含む【地域生活基盤のゆるぎ】,【精神・認知面の問題】,【家族介護困難】,【介護サービス提供上の困難】の4カテゴリが抽出された。【在宅介護支援の充実に関する要望】として,中国語ができるスタッフや介護施設の要望,公的経済支援の充実があげられた。