頭部被服に付着した農薬による人体の2次的汚染を予防する目的で, 付着した農薬の水分による溶出濃度を実験的に測定し検討を加えた。約1年経過した被服からの農薬の溶出率は, ボルドー液剤 (銅濃度を指標として) で約2~3%, 有機燐系農薬のそれは7~14%程度であった。農薬散布作業終了後 (ボルドー液剤, 有機燐系農薬散布) の被服からの水分による農薬の溶出率は, 農薬の付着の大小よりも被服の材質により異なり, 化学繊維のような滑らかなものでは溶出率は高く, 有機燐系農薬の分解も早い傾向を示した。その値は, 被服を放置し, 4週を経てもボルドー液剤で約50%, 有機燐系農薬のそれは同じ時点で約7%であった。また, ボルドー液剤付着被服を4週放置しても, 水分による浸漬液のpHはあまり減少せず, 比較的高値を持続した。これより, 散布時, 多くの農薬の曝露を受けた被服を短期間中に再び着用する場合は, 充分農薬を除去するなどの予防を講じる必要がある。