日本農村医学会雑誌
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農業に関連するアレルギー性皮膚疾患の調査研究
堀内 信之安藤 幸穂津金 助男嶋田 三代治
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1986 年 35 巻 1 号 p. 16-26

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抄録
農業アレルギーに関する調査研究の一環として, 農業に関連してアレルギー機序を介して発症するとみなされる皮膚疾患について若干の調査研究を行ない, 次の知見を得た.
1. 接触皮膚炎は外来患者の7.29%にあたっていた. 農業に関連した原因としては, 農薬, 菊, レタス, プリムラ・オブコニカ, 桑, 稲, 肥料, 生石灰, セロリ, パセリなどで, これらが全接触皮膚炎患者の17.2%にあたっていた.
2. 農薬皮膚炎は外来患者の0.41%, 全接触皮膚炎患者の5.64%にあたっていた. 原因農薬ではDDVP, ダイセン, ランネート, マンネブダイセン, サリチオンが多かった.
3. 日光皮膚炎は外来患者の1.41%にあたっており, 農薬によるものが5名みられた.
4. パッチテストの結果, ダコニール, ダイホルタン, アルタノンは一次刺激性が強いが感作能もあること, トリアジン, DDVPは感作能が強いこと, トップジンM, サリチオン, ダイアジノン, マンネブダイセン, ダイセソステンレスは感作能があることが推定された.
5. 農薬散布従事者の検診で, 農薬皮膚炎の原病変となる可能性のある手皮膚炎が27.9%にみられた.
6. パッチテスト被検者の予後調査で, 農薬皮膚炎の予防にパッチテスト結果を生かしていくことは容易ではないことがわかった.
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