日本農村医学会雑誌
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35 巻 , 1 号
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  • 臼谷 三郎, 木田 和幸, 西山 邦隆, 中路 重之, 苅谷 克俊
    1986 年 35 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    リンゴの人工授粉期には, リンゴ花粉症と類似の症状を呈する者が多いことが疫学調査で明らかになった.
    そこで, このような類似患者の生態を明らかにする目的で, 人工授粉の前, 中, 後期の3時期に, 自覚症状, 血液諸成分や免疫抗体等の推移について検討を加えた結果, リンゴ花粉症様の症状を呈する多数の類似患者群の背景には, 少数の真のリンゴ花粉症に加えて, リンゴ花粉と共通抗原性をもつ他の花粉によるより多くの感作例や, これらのリンゴ花粉症としての誤認例が含まれているように思われた.
    したがって, リンゴ花粉症の診断には, 精細な自覚症の発症時期や持続期間の検討, 各種花粉抗原についての皮膚反応, 免疫抗体の検査などを行なって, 慎重に取扱う必要があると考える.
  • 堀 俊彦, 大山 碩也, 神辺 譲
    1986 年 35 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    昭和52年より58年までの7年間の外来初診患者についての臨床統計調査より, 長野県農村地帯のアレルギー性疾患の現状について以下のような点が明らかにされた.
    1. 年度別初診患者数, 総患者数はともに調査期間を通じてほぼ一定であった.
    2. 疾患別では, アレルギー性鼻炎の占める割合いが年とともに増加傾向を示した. 他方じん麻疹, アトピー性皮膚炎, 接触性皮膚炎などの皮膚疾患はやや減少傾向を示した.
    3.アレルギー性鼻炎増加の主因は花粉症患者の増加によるものと考えられた. その主な原因花粉としては, 樹木花粉ではスギ, シラカバ, クルミ, 牧草花粉ではカモガヤ, オオアワガエリ, 雑草花粉ではヨモギ, ブタクサ, アキノキリンソウなどがあげられた.
    4. 気管支喘息の患者数は年度によりかなり増減が大きかった. 患者の大部分は小児期に発症した者で, おもな原因はダニおよびハウスダストであり, 農村部で問題になると思われた真菌類の感作例は減少傾向を示した.
    5. 食物性アレルギーがやや増加しつつあり, その中では卵白, 牛乳についてダイズ, ソバなどが主要な原因であった.
    6. 農業に直接ないし間接的に関連したアレルギー性疾患は花粉症5種, 気管支喘息3種が認められた. 中でも人工授粉作業によるリンゴおよびナシ花粉症が, 今後もっとも重要な研究課題になるものと思われた.
  • 堀内 信之, 安藤 幸穂, 津金 助男, 嶋田 三代治
    1986 年 35 巻 1 号 p. 16-26
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業アレルギーに関する調査研究の一環として, 農業に関連してアレルギー機序を介して発症するとみなされる皮膚疾患について若干の調査研究を行ない, 次の知見を得た.
    1. 接触皮膚炎は外来患者の7.29%にあたっていた. 農業に関連した原因としては, 農薬, 菊, レタス, プリムラ・オブコニカ, 桑, 稲, 肥料, 生石灰, セロリ, パセリなどで, これらが全接触皮膚炎患者の17.2%にあたっていた.
    2. 農薬皮膚炎は外来患者の0.41%, 全接触皮膚炎患者の5.64%にあたっていた. 原因農薬ではDDVP, ダイセン, ランネート, マンネブダイセン, サリチオンが多かった.
    3. 日光皮膚炎は外来患者の1.41%にあたっており, 農薬によるものが5名みられた.
    4. パッチテストの結果, ダコニール, ダイホルタン, アルタノンは一次刺激性が強いが感作能もあること, トリアジン, DDVPは感作能が強いこと, トップジンM, サリチオン, ダイアジノン, マンネブダイセン, ダイセソステンレスは感作能があることが推定された.
    5. 農薬散布従事者の検診で, 農薬皮膚炎の原病変となる可能性のある手皮膚炎が27.9%にみられた.
    6. パッチテスト被検者の予後調査で, 農薬皮膚炎の予防にパッチテスト結果を生かしていくことは容易ではないことがわかった.
  • 藤多 哲朗, 加藤 和則, 武田 美雄, 高石 喜久, 市原 照由, 坂東 玲芳, 居村 剛
    1986 年 35 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1. 昭和51年 (1976年) 頃から徳島県下の菊栽培農家の間で発生したアレルギー性接触性皮膚炎原因物質を化学的に探索した.
    2. その結果アレルゲンは菊新鮮葉汁中に含まれていることが判明した.
    3. 菊葉汁中のアレルゲンは2種に大別され1つは高分子の糖-タンパク, 他は脂溶性成分であることが判明した.
    4.硫安飽和沈澱を酢酸エチルで抽出すると活性の低下が認められたが, 酢酸エチル抽出物を再添加すると活性が回復した.
    5. 脂溶性成分として5, 7-dihydroxychromone (1) の他5種のセスキテルペン化合物が単離され, それらの化学構造が推定された. しかしながら動物の感作がこの時点で成功せず, 単離された成分の動物試験は行なわれなかった.
    6. 菊葉汁とセスキテルペンラクトンであるalantolactoneとの間には, 動物実験では交差反応は認あられなかった.
  • 坂東 玲芳, 居村 剛, 松浦 一, 岸本 信子, 住友 晴美, Reiko HAMADA, 林 敬子, 大久保 岩雄, 藤多 哲朗, 加藤 ...
    1986 年 35 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    菊およびレタス栽培者に対し集団的なパッチテストを施行し, その原因を検索した. パッチ材料には, 菊, レタスの葉汁およびその抽出成分ならびに農薬ことに有機塩素系農薬のダコニールを用いたこの結果, 菊, レタスおよびその成分は, その刺激性も皆無ではないが, 大部分アレルギー機序により, 皮膚炎の原因をなすものと考えられた.
    農薬, ことに, ダコニール (TPN) は, その強い刺激性および光線過敏毒性より, 農業者および非農者にも平均約60%のパッチ陽性反応を示すとともに, その常用の約5倍以下の濃度で, アレルギー機序の反応をおこすとの結果を得た.
    よって, 菊, レタス栽培者の皮膚炎原因は, 単一でなく, 実地臨床上では, 栽培作物と農薬などの複合的要因がその原因をなしているものと思われる.
  • 居村 剛, 坂東 玲芳, 村田 孝, 久保 博, 武田 美雄, 市原 照由, 加藤 和則
    1986 年 35 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農作物そのものによる栽培農業者のアレルギー疾患には, 種々の花粉症や胞子, 毛茸, 葉汁等の吸入による職業性気管支喘息の報告がみられる. しかし, レタスによるアレルギー疾患には, IV型アレルギーに属する接触性皮膚炎がよく知られていて, 気管支喘息の報告は極めて少ない.
    私達は, 気管支喘息の原因がレタス葉汁の吸入によるものであろうと考えられた稀な症例につき検討した. 発作時に著明な肺機能低下, 好酸球増多を認め, レタスアレルゲン (鳥居製及び自家製) による皮内即時反応陽性であるが, その他の一般的な25種のアレルゲンでは, カンディダを除き全て陰性であった. また気道過敏性試験および環境誘発試験, さらにレタス葉汁, およびレタスアレルゲンによる吸入誘発試験も陽性の結果を得た. よって, この気管支喘息は, レタスの収穫および包装作業時にレタス葉汁の飛沫を吸入することによって惹起されたアレルギー性喘息と診断された.
    一方, 疫学調査では, レタスアレルギーによる栽培農業者の気管支喘息有症率は, 一般の喘息有症率に近く, また, アレルゲン皮内テストの陽性率は低く, 対照者との間に差異は認められなかった.
    以上より, レタス葉汁の1型アレルゲン性は, 決して高くなく, 本症例は, 甚だ珍らしいものであると考えられた.
  • 居村 剛, 坂東 玲芳, 和田 泰男, 福島 泰, Ryozo HAYAI, 松浦 一, 井上 博之, 蔭山 哲夫, 武田 美雄, 市原 照 ...
    1986 年 35 巻 1 号 p. 45-54
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業アレルギーの調査研究の一つの対象として, しいたけ栽培者を選び, その胞子による過敏性肺炎の3例を発見報告した, これらの3症例には, しいたけ胞子アレルゲンに対する血清沈降抗体がみられ, ことに, その1例において, しいたけ胞子および, 抽出アレルゲンによる誘発反応を試み, 陽性所見を得た. しいたけ農家群には, 高い自覚的呼吸器症状がみられるが, その原因は単一でなく, アレルギー機序は, その一部の原因であろうと考えられ1る. しいたけ胞子抽出アレルゲンの皮内反応陽性率は低く, そのアレルゲン性は高くないと考えられ, この疾患には, アレルギー素因が大きい要素を占める.
    この他, Mushroom worker's lung等との関連や, きのこ胞子類によるアレルギー疾患との関係も論じた.
  • 上田 厚, 青山 公治, 藤田 委由, 上田 忠子, 萬田 芙美, 松下 敏夫, 野村 茂
    1986 年 35 巻 1 号 p. 55-66
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    菊栽培従事者の男子47%, 女子62%に, 作業に関連した鼻, 呼吸器症状および皮膚症状がみられた。前者は選花作業時'後者は農薬散布時に自覚されることが多いようであった。
    菊および農薬に対するパッチテスト, プリげクテスト'血清免疫グロブリン値測定, 鼻汁検査などにより, 前者の症状は即時型, 後者は遅延型アレルギーの関与が示唆された。また, これらのアレルギー学的検査所見の有無と, 菊および農薬の暴露量には若干の関連が認められた。
    アレルギー所見は, 菊の品種別では, 大芳花に最も高率で'ついでステッフマン, 金盃, 寒山陽などであったが'主として大輸株に即時型'小菊株に遅延型の症状が集積している傾向を認めた。しかしながら, 各品種と検査所見との関連をφ係数で検討すると'アレルギー学的検査所見との関連のとくに著しい品種は検出されなかった。また'皮膚症状については, パッチテスト成績などよりみて, 菊よりもむしろ農薬の関与が強いと思われる成績が得られた。
    このように, 菊栽培従事者の多くは, 作業に伴い菊や農薬の慢性的な暴露を受け, それに感作された状態にあることが確かめられた。さらに, それらによるアレルギー症状は, その他の作業環境における種々のallergenに様々に修飾されて発現するものであることが示唆された。
  • 米満 孝聖, 長尾 正崇, 角 美奈子, 太田 順一郎, 江川 久枝, 二塚 信
    1986 年 35 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    パラコート (Pq) 中毒患者に対する積極的治療法の検討を目的として, マウスを用いた急性毒性実験を行なった。
    Pqの毒性発現機序がスーパーオキサイド産生に引き続く膜脂質の過酸化によるとする説をもとに, 過酸化膜脂質の正常化とスーパーオキサイドの除去を目的として, Pq中毒マウスにアスコルビン酸およびスーパーオキサイドディスムターゼ (SOD) を静脈内投与した。治療効果の指標として, 体重変動および累積死亡率を用いた。
    その結果, アスコルビン酸投与群では未処置群に比べ累積死亡率曲線の初期勾配がやや小さかったのみで, 10日間の累積死亡率に大きな上は認められなかった。一方, SOD投与群では未処置群に比べ10日間の累積死亡率が大きく, SODによってPqの毒性が増強される結果が得られた。これはスーパーオキサイドとSODとの反応によって生じる過酸化水素の毒性によるものと推測した。したがって, Pq中毒の治療の目的でSODを単独で用いることはかえって中毒症状を悪化させることも考えられ, SODとカタラーゼの同時投与などについて検討を加える必要がある。
  • 鳥居 俊, 陶山 哲夫, 久野木 順一, 下條 仁士, 勝本 弘, 佐藤 幾雄, 児玉 美鈴, 原田 力三, 吉川 雪男
    1986 年 35 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    茶作業従事者における膝関節障害について178名にアンケート調査を行い, このうち42名を直接検診した. また膝痛を主訴として当科を受診した茶作業従事者を合わせ33名のX線所見を検討した.
    アンケート調査の178名中54名(30.3%)に膝痛が見られ, 男性は74名中14名(18.9%), 女性は104名中40名(38.5%)であり, 明らかに女性で高率である. また年令の増加に従い膝痛を有する頻度は増大するが, 茶作業従事年数, 作業時間との明らかな相関は見られない.
    作業地を平地, 傾斜が30度以下の傾斜地, 30度以上の山地の3群に分けると, 膝痛を有する頻度は, 平地25.0%, 傾斜地32.6%, 山地45.5%と傾斜が増大するに従って高頻度となる.
    臥位・立位でのQ-angleの差は山地群で大きく, 膝痛を有する群でも大きい.
    X線所見では全例に内側関節裂隙の変形性変化が見られるが, 膝蓋大腿関節の変形性変化は傾斜の強い作業地ほど高率に見られ, 山地群では全例に見られる.
    傾斜地では膝・股関節屈曲位で作業を行なうため姿勢の保持, 移動のため大腿四頭筋, 下腿三頭筋の強い収縮を要し, 膝関節への負荷が大きく, 変形性膝関節症変化を引き起こし易いと考えられる.
    膝関節障害の予防として, 斜面では足場の改善, 集積・運搬の機械化とともに斜面の昇降回数を減らし, 適度な休憩を設ける必要がある. 大腿四頭筋の筋力強化, 肥満の防止も重要である.
  • 金子 正剛, 陶山 哲夫, 久野木 順一
    1986 年 35 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    今回, われわれは, 茶作業従事者における遅発性尺骨神経麻痺について, 調査したので報告する。
    過去3年間に, 当科で治療した遅発性尺骨神経麻痺のうち, 茶作業者は5例, 6肘であり, 全体の約半数を占めていた。原因は, 1例を除き, 全例, 変形性肘関節症であり, 全体に高令者に多かった。症状としては, 手のシビレが多いが, 他覚的に認められた, 節萎縮や, 指変形に対する訴えは少なかった。
    治療は, 1例を除き手術を施行した。手術成績は, 全例に症状の改善が認められ, 自覚的満足も得られたが, 臨床的評価と患者の満足度とは, 必ずしも一致しなかった。
  • 白倉 外茂夫, 越知 富夫, 寺島 英一
    1986 年 35 巻 1 号 p. 80-90
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    対象人口約12,000人の当院で6年9ヵ月間に27例の胆道悪性疾患手術例を経験した。その内訳は胆嚢癌16例, 胆管癌9例, 胆嚢肉腫1例, 胃癌胆嚢転移1例である。
    年令は平均70.0才, 男女比は胆嚢癌では1対2.2, 胆管癌では5対4であった。
    診断法ではOC, DICは癌の確診を得られず, PTC, ERCPは診断率が高い。USは胆嚢早期癌2例を診断でき, 他の例でも重要な異常所見を得ることができた。
    術前に胆嚢癌と診断した5例では1例切除できたにすぎず, 術中に癌と判明した5例は全て切除不能進行癌であつた。術後の精査で癌と6例が診断されたが, その中5例が1年7か月から7年健在である。
    胆管癌は全例黄疸を呈し, PTC, ERCPにて8例が癌による閉塞性黄疸と診断した。手術は7例が切除でき, 5例が7か月から5年11か月健在で, 3例は胆嚢・膵臓に浸潤を有するstage IIIであるが3年以上健在である。
    以上の結果をふまえ, われわれは高令者の多い当地域においてUSによる肝胆膵集団検診を始あ, 2年間に胃癌肝転移1例, 胆石症19例, 胆嚢ポリープ4例を発見した。
    なお早期胆嚢癌超微形態像では, 癌細胞は比較的均一で杯細胞, Paneth細胞に似る細胞はほとんど無く, 基底膜に囲まれている。細胞内小器管・分泌穎粒は良く発達し, 特にゴルジ装置は著明で, GERLも明らかに認められた。
  • 伊藤 紀克
    1986 年 35 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 1986/05/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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