日本農村医学会雑誌
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健診におけるATL (Chronic Type, Smoldering Type) の検討
自動血球計数装置(E-4000)を用いて
佐藤 淳重藤 恵美子工藤 次生大塚 英一水谷 良子川崎 紀則末綱 純一原田 頼続坪井 峯男明石 光伸
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1988 年 37 巻 4 号 p. 867-872

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抄録

われわれは, 成人T細胞白血病 (ATL) の比較的なendemic areaである大分県で, 健診者を対象に自動血球計数装置 (E-4000) を用いて, 血液粒度分布図におけるLymphocyteに相当するWBC-Small Cell Ratio (W-SCR) が50%を超える症例を被検者11,568名中から男性104名, 女性181名見出し, これらの症例について末梢塗抹標本でのリンパ球形態の観察を行なった. 切れ込み, 分葉などの核異形を有すAbnormal Lymphocyteを認めた11名に抗ATLA抗体, 耳朶塗抹などの精査を行ない8例の検出に至った. 8例すべてにATLに特徴的な臨床症状は認めず, 抗ATLA抗体は, ELISA法で25.0倍以上と高抗体価であった. Chronic typeと診断した1例のAbnormal Lymphocyteは70%, 白血球数は28,000/μlであった. ほかの7例のAbnormal Lymphocyteの割合は, 1-11%と低く白血球数は, 5,300-11,100/μlとほぼ正常範囲であった.
ここに報告した方法は健診において無症状のChronic typeやSmoldering typeのATLをみつけ出す有用な方法と考えられる.

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