日本農村医学会雑誌
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オクラ (Hibisucs esculentus Linn) 栽培作業者における皮膚障害
松下 敏夫萬田 芙美青山 公治上田 厚上田 忠子李 卿小濱 木の実
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1989 年 38 巻 1 号 p. 24-29

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抄録

オクラ栽培作業者の皮膚障害の発生について現地調査した。調査した186名 (男子76名, 女子110名) のうち, 約半数 (46.2%) がオクラ栽培による皮膚障害を経験していた。障害部位は, 主として腕 (47.5%), 頸部 (41.3%), 手指 (32.5%) などであった。障害は, 一般に掻痒 (85.0%), 発赤 (61.3%) 程度であったが, 手指の指紋消失 (16.3%) や亀裂 (11.3%) などの重症のものも認められた。皮膚障害に関係するオクラの部位は, 主として葉, 毛茸および莱果のようであった。
46名 (男子12名, 女子34名) のオクラ作業者と112名 (男子84名, 女子28名) の対照者に, 未成熟のオクラ莱果で作成した試験液で皮膚貼布試験を行なったところ, オクラ栽培者の陽性率は, 男子 (陽性率25%) および男女合計 (同20%) で対照群に比べて統計的に有意に高かった。これらの成績は, オクラ成分は, 一次刺激性皮膚炎のみならずアレルギー性皮膚炎を生ずることを示す。

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