1989 年 38 巻 1 号 p. 34-36
症例1は43才の男性である。多量飲酒後, 黄疸を生じて入院し4日目, 肝性昏睡3度へ進行し死亡した。入院時プロトロンビン%31, T-B14.1であった。この症例は肝臓の組織所見がないが,「アルコールと肝」研究班が作成した, 重症型アルコール性肝炎の診断基準に該当する症例と思われた。症例2は45才の男性である。多量飲酒後, 全身倦怠感を生じて入院した。意識は清明, 肝臓は3横指触知し圧痛あり。臨床経過は肝庇護療法のみで軽快した。この症例は高脂血症と貧血を認め, Zieve症候群と診断した。
CTを用いて, 症例1と症例2の肝臓および脾臓の容積と肝脾率を検討した。対照群と比較して症例1および症例2の肝臓の容積は増加し, 逆に脾臓の容積は減少していた。肝脾率は著明に低下していた。症例2では, 肝機能障害が軽快するとともに肝臓の容積は減少し, 脾臓の容積は増加した。肝脾率も正常化した。