1990 年 38 巻 5 号 p. 1016-1022
リンゴ園で行なわれる選果台の至適台高を, モデル実験によってエネルギー代謝学的に研究するとともに, 選果台の実態調査を行なって次の結論を得た。
1. 選果作業によって増加した1分あたりの02消費量を7種の台高について, 台高を身長+履物高で除した値をx, 作業によって増加した労作1分間あたりの02消費量をyとすると両者間には
y=0.226x2-20.91x+677.1
の2次式が得られ, 至適台高は履物を含む身長比46%と判断された。2. リンゴ農業で使用されている選果台高は, 身長比の30-40%に分布し, 低すぎる傾向がある。これは, リンゴ箱を選果台に利用するような選果への安易な取り組みや習慣に原因している。3. 選果作業従事者の腰痛や疲労軽減対策として人間工学的視点にたった選果台の改良, 普及が必要であろう。