日本農村医学会雑誌
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茨城県県南地方の地域病院における胃癌症例の臨床的検討
真田 勝弘岡本 浩平柴田 光一平沼 進関 和司滝口 典聡高島 格菅野 範英小林 広幸呉 鐵仁登内 真
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1991 年 39 巻 5 号 p. 1018-1030

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抄録

茨城県県南地方の農村地帯を診療圏とする土浦協同病院外科における胃癌症例の臨床的検討を行なった。
昭和53年1月から昭和63年12月までの11年間に1,287例の胃癌の入院があり, そのうちの1,233例 (95.8%) で手術を施行した。切除数は1,059例 (切除率85.9%), 治癒切除数は863例 (治癒切除率70.0%) であった。胃全摘施行例は337例 (切除例の31.8%), 手術直接死亡率は2.35%, 切除直接死亡率は1.32%であった。昭和53年から昭和58年の間の症例の5年生存率は切除数に対して57.5%, 治癒切除数に対して69.3%であった。
昭和55年5月以来, 間接撮影による施設胃集検を行ない, 昭和63年末までに, のべ54,455人の受診者から162例の胃癌を発見した (胃癌発見率0.30%)。そのうちの120例を当施設で手術し, 84例 (70.0%) が早期胃癌であった。
われわれの症例を年次的にみると, 切除率, 治癒切除率, 早期胃癌の率, 5年生存率のいずれも次第に向上してきたが, 切除範囲 (全摘率, 合併切除率), リンパ節廓清程度などには年次的変化はなく, この向上は早期例の増加によるものであり, 胃集検, 人間ドックを含めた無症状期の健康診断の受診者の増加が胃癌の手術成績の向上に寄与していた。

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