日本農村医学会雑誌
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健康学習の新たな視座
宮原 伸二
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1991 年 40 巻 4 号 p. 960-968

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抄録

健康学習を推進するには, ただ, 漫然と推進するのではなく, いろいろな学習形態を互いに有機的に関連づけながら構造化して展開することが大切である。
健康学習を3層構造に分け推進するのがよい。
第1層は行政や農協などの団体が主催して保健活動のリーダー養成ややる気のある人を対象とした学習会である。
第2層は第1層で育った人たちが団体と協力しあって推進する学習会で, 実行委員会を結成したり, あるいは, サークル的なものとして推進されるものである。
第3層は地域の中で住民自身の力によって自主的に推進されるものである。第1層, 第2層をふまえ住民の質的, 量的向上の中で, 問題の掘り起こしから, 問題意識の向上, 実際活動, 総合的な学習という流れにそって, 多くの住民をまき込みながら行われる学習会である。
このように3層を関連づけながら総合的な健康学習を展開することによってはじめて大多数の住民の参加が得られ, 健康学習の効果が期待できるようになる。
今回はこのような健康学習のあり方を著者の地域における健康づくり運動の20年以上の経験から一般化して述べるとともに, 高知県西土佐村で行われている健康学習活動の具体例を紹介する。

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