ブドウ栽培作業の中でも, とりわけ摘粒作業は長時間の連続的な上肢挙上・立位・上向き作業姿勢が要求され, 繁忙期には作業者の問で筋骨格系を主とした疾労の訴えが増加する. この問題の解決に資するため, 人間工学的な改善策の検討を行なった.
大人用三輪自転車 (三輪自転車), 老齢者・身体障害者用電動三輪車 (電動三輪車) をそれぞれ農作業用に改造し, ブドウ摘粒作業現場で, 旧来通りの立位作業, および2種類の作業車による作業を実施し, 自覚疲労症状, 作業量などの比較検討を行なった.
その結果, 電動三輪車作業は, 腰痛や下肢のだるさなどを減少させるのに有効であることが示された. また電動三輪車による作業は, 立位作業や三輪自転車による作業に比べ, 作業能率が高く, 取扱い操作などに関する作業者の評価も良好であった. 電動三輪車に今後さらに改良を加えることにより, 実用化が十分可能であると考えられた.