日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
岐阜県北部に於ける胆道膵悪性疾患に対する診断と治療の現況
田近 徹也亀岡 伸樹森岡 淳大川 洋史加藤 真彦大沼 俊和
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 42 巻 5 号 p. 1049-1055

詳細
抄録

過去13年間に経験した胆道膵悪性疾患手術症例について, 年齢, 性別, 病変の占拠部位, 肉眼的進行度, 手術術式, 切除率, 受診と診断の契機及び術後生存を検討した。症例の内訳は胆管癌31例, 胆嚢癌19例, 乳頭部癌5例, 膵癌38例の計93例であった。平均年齢は胆管癌68.7歳, 胆嚢癌65.1歳, 乳頭部癌65歳, 膵癌64.4歳であった。男女比は全体では52対41であり, 下部胆管癌で男性に, 胆嚢癌で女性に多く認められ有意差があった。病変の占拠部位は胆管癌では下部, 上部, 中部の順に, 胆嚢癌では体部, 原発不明の全体部, 底部, 頸部の順に, 乳頭部癌は全例共通管部にあり, 膵癌では大半が頭部にあった。肉眼的進行度は胆管癌でStageIII以上が23例 (74%), 胆嚢癌では18例 (85%), 膵癌では34例 (89%) を占め進行癌が圧倒的に多かった。手術は中下部胆管癌, 乳頭部癌及び膵癌で切除可能な症例では標準的膵頭十二指腸切除を受けた症例が多かった (25例, 43%) が適応を選択して全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除も施行した (3例, 5.1%)。しかし, 乳頭部癌を除く各疾患で根治術が不可能でバイパス術を含む姑息的手術又は単開腹のみの症例が多かった (50例, 56.8%)。切除率は胆管癌58.1%, 胆嚢癌42.1%, 乳頭部癌100%, 膵癌31.5%であった。術後生存は乳頭部癌を除いてきわめて不良であった。早期胆道癌, 小膵癌の発見に努めることの重要性を再認識し強調した。

著者関連情報
© (社)日本農村医学会
次の記事
feedback
Top