日本農村医学会雑誌
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健康診断における検尿所見の検討
小野 満也高田 薫山口 博佐藤 博司石亀 広樹松島 松翠
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1994 年 42 巻 5 号 p. 1067-1071

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抄録

長野県厚生連健康管理センターが1990年に施行したヘルススクリーニング94,913例, および1989年, 1990年を連続で受診した59,803例における尿蛋白, 尿潜血の頻度を年齢別, 男女別に調べた。1990年度の検尿結果では尿蛋白陽性が2.4%, 尿潜血は6.2%, 両者陽性は0.5%で, 2年連続陽性例はそれぞれ0.8%, 3.4%, 0.1%であった。尿蛋白および尿潜血の陽性率は加齢とともに上昇した。尿蛋白は男性が女性の1.8倍, 尿潜血は女性が男性の2.7倍と高率であった。両者陽性率は0.1%と男女同率であった。当院で1985年から1990年に施行した腎生検85例について腎疾患が発見された動機と診断名を検討した。腎生検85例中, ヘルススクリーニングや人間ドック, 学校検診などの検尿で発見されたものは35例 (41.2%) であり, IgA腎症がもっとも多かった。要精密検査判定例の医療機関からの返書内容では尿蛋白は内科的腎疾患が, 尿潜血では泌尿器科疾患が, 尿蛋白, 尿潜血両者陽性では慢性糸球体腎炎と泌尿器科疾患が多かった。

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