日本農村医学会雑誌
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農村における在宅障害老人の地域ケアシステムの開発に関する研究
松島 松翠
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1994 年 42 巻 6 号 p. 1167-1179

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抄録

農村地域において, 障害老人の地域ケアを推進していくための, 効果的な地域ケアシステムのあり方と具体的な取り組み方法について研究した。システムづくりの第一歩は, まず地域の諸機関のお互いの情報連絡の場をつくることであり, それにはできるだけ現場担当者が参加することが望ましいといえる。在宅ケアの援助のプロセスに当たっては, とくに医療機関, 地域保健婦, 福祉事務所の連携が大切であるが, まず医療機関内に在宅ケア担当部門が確立され, その窓口がはっきりしていることが必要である。一方, 対象患者の高齢化に伴い, 医療依存度の高い訪問看護ケースが増加しつつあり, 病院からの訪問看護や往診の必要性がいっそう高まっているが, 今後は地元開業医との役割分担が今まで以上に必要となる。
地域ケアを効果的に推進していくためには, 地域における諸機関や施設の連携のもとに, 医療担当者やヘルスワーカー, 地域ボランティア, 住民等の地域ぐるみの組織的活動が必要である。とくに医療機関は, 地域ケア推進のために, そのシステムづくりの核となって活動する必要がある。在宅ケアを援助する地域のボランティアの教育育成も医療機関の主たる役割の一つといえる。

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