日本農村医学会雑誌
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農薬慢性中毒 (障害) の臨床的・疫学的考察
その1. 神経・精神障害
松島 松翠
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1995 年 44 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

農薬による慢性中毒 (障害) のうち, とくに神経・精神障害について臨床的・疫学的な面から考察した。
慢性的な経過を示す神経・精神障害は, 遅発性多発性神経障害, 急性中毒の慢性後遺症, 慢性的暴露による中毒 (障害) の三つに分類される。遅発性多発性神経障害は, 急性期を過ぎて2~4週後に発症する四肢の知覚障害, 運動麻痺で, 有機燐剤によるものが多く見られる。急性中毒の慢性後遺症は, 急性の暴露後, 症状が数か月から年余にわたって続くもので, 頭痛, 視力障害を主とするもの, 中枢神経障害, 精神症状及び精神病的後遺症, 神経精神機能の低下等が見られる。また慢性的暴露による中毒 (障害) は, 連続して長期間暴露されることにより発病するもので, 神経行動異常, 中枢性及び末梢性神経障害, パーキンソン病及びパーキンソニズム, 痴呆及び精神障害等が見られる。
それらの神経・精神障害の病像を分析するとともに, 臨床診断の方法についてもあわせて検討した。

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