日本農村医学会雑誌
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平地農村, 農山村高齢男性の排尿障害と前立腺検診
坂東 玲芳橋本 寛文水田 耕治
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1998 年 47 巻 1 号 p. 36-41

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抄録
本報告は, 全共連委託「農村地域における高齢者の尿失禁の実態調査とその対応方法の検討」(班長杉山一教) に参加した徳島県における調査研究の一部である。これは3部よりなり, 1) 農村高齢者の自立状況と排尿状態, 2) 農村高齢者の尿失禁- 患者, 老人施設入所者との比較-, 3) 本報告である。
既報のごとく, 農村の在宅高齢男性の尿失禁者率は20.5%, その不満者率は14.4%, また, IPSS10以上の異常者率は20.1%を占めた。IPSSの高値者率は, 加齢とともに増加し, また, 地域差が認められ, 農村平地部より山村部に低い。この原因として, 山村住民の前立腺肥大発症率の低い可能性がある。
前立腺検診において, 国際前立腺症状スコア (IPSS) は, 肥大のスクリーニングにはある程度有用である。有用な検査は, 超音波画像による重量計測や性状診断, 尿流量計測などであることは, 臨床上よく知られているが, フィールドにおけるスクリーニングへの導入には問題が多い。
これに比し, PSA, PAP測定は, 前立腺検診上にきわめて有用であるばかりでく, 老人健診に直ちに導入可能であり, 可及的速やかな実現が望まれる。
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