日本農村医学会雑誌
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大腸癌検診精検受診率向上の取り組み
住民教育の効果
小林 加代子竹ノ内 洋子田口 里美
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1998 年 47 巻 1 号 p. 51-54

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抄録

わが国の大腸癌罹患率, 死亡率は著しい増加傾向を示している。これに対し大腸癌検診が全国的に普及してきた。当農村検診センターにおいても平成4年に老人保健事業に取り入れられたのを機に, 受診者は年々増加している。しかしその一方で, 精検受診率は60~70%と低い現状であった。そこで, 市町村保健婦の学習会や住民教育を行い, 精検受診率の向上に取り組んだ。市町村保健婦の学習会では, 大腸癌及び大腸癌検診について知識を高めると共に, 住民教育の必要性を認識できるよう働きかけた。そして市町村保健婦と協力し, 各地区で住民教育を実施した。教育内容は, 検診の意義と精密検査の必要性に重点をおき, スライドを使用し医師及び保健婦による講義方法で行った。スライドは飛騨地区腫瘍登録や当院で発見された大腸癌患者調査をもとに作成し, 身近なデータを示すことで自分の問題と捉えられるよう工夫した。又, 聞く側がイメージしやすいよう検査器具, 検査内容を写真や絵で示し, 何故, 検診や精密検査が必要なのかを強調した以上の取り組みの結果, 全体の精検受診率は教育前71%から教育後80%となり, 市町村別にみてもほとんどの地区で上昇した。

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