日本農村医学会雑誌
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外来における前向きインスリンスライディングスケールの有用性について
亀谷 富夫越田 英夫橋爪 清盛柴田 和彦清水 邦芳堀上 健幸
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2001 年 50 巻 2 号 p. 102-107

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抄録

外来通院中のインスリン治療糖尿病患者を通常のインスリン治療を続けるコントロール群14名 (C群) と血糖値に応じてインスリン注射量を2から4単位増量する前向きインスリンスライディングスケール併用群14名 (S群) にわけ, 6か月間Hb Alcと低血糖回数を観察し前向きインスリンスライディングスケールの有用性を検討した。
C群ではHb Alc値は有意な変化はなかったが, S群ではHb Alc値は前の8.37±1.14%より1か月後より低下し始め, 2か月後には7.95±1.26%と有意に低下し (p<0.04), 5か月後には7.50±1.42%と最低値を示した。低血糖の回数は, S群では, 1か月後, 2か月後に約2倍と有意に増加したが (それぞれP<0.05, P<0.01), 重篤な低血糖は認めなかった。以上より, 前向きインスリンスライディングスケールを使った治療法は外来インスリン治療糖尿病患者において有用と考えられた。

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