抄録
入院時歩行不能の脳卒中患者143名について,入院時の心理傾向や認知障害がその後の下肢能力やADLの改善に及ぼす影響について検討した.
1) 入院時の下肢能力が比較的高い患者では心理傾向や認知障害の治療成績に及ぼす影響は少なかった.
2) 入院時の下肢能力が低い患者では,心理的異常のある患者は身体能力の改善が少なく,殊に心理的異常と認知障害を持つ患者ではその傾向が著明であった.
3) 訓練にもかかわらず歩行不能に終わる例は入院時より身体能力が低く,心理的異常と認知障害を有する患者が多かった.
今後は,心理的異常もリハ阻害要因として認識し,積極的な対策を進める必要がある.