リハビリテーション医学
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脊損家兎による痙性麻痺と弛緩性麻痺の比較
平泉 裕藤巻 悦夫副島 和彦
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1988 年 25 巻 6 号 p. 459-465

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抄録

22羽の家兎を用いて第10胸髄脊髄横断(12羽),第7腰髄以下脊髄摘出(10羽)を行い,それぞれ痙性麻痺,弛緩性麻痺モデルとし,術後管理を行いながら合併症出現とその病理的変化を観察した.(1)ほとんどの痙性モデル(9羽)は術後1~2日で後肢痙性や反射性尿失禁を呈する例が多く,痙性の強い筋では肥大筋線維がみられた.(2)弛緩性モデル(10羽)では弛緩性麻痺と横溢性尿失禁が持続した.(3)脊損家兎飼育中,脊柱変形や関節拘縮を合併すると前肢での移動が制限され,これに褥創が併発すると全身状態が不良となり,合併症予防と全身的ケアの重要性が確認された.
脊損家兎においても,臨床上我々が観察している病態と類似する点が数多く,リハビリテーション医学上参考になると思われた.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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