1991 年 28 巻 1 号 p. 21-26
脳血管障害による痙性不全片麻痺8例,脊髄小脳変性症8例,パーキンソン病7例と正常者8例を対象に,種々の大きさの力で等尺性急速膝伸展を行わせ,最高張力の大きさ(Fmax),張力発生から最高張力までの時間(FTmax)と筋張力発生率(RTD=Fmax/FTmax)を測定した.正常者群,各疾患患者群ともに,Fmaxの増加につれてRTDは増加し,FTmaxは延長した.患者群では正常者群に比べRTD可変域は顕著に小さく,FTmaxは著明に延長していた.RTD最大値が小さいものほど,FTmaxは延長していた.この現象には疾患特異性がなく,中枢神経疾患に共通であることから,RTDとFTmaxは等尺性急速筋収縮の機能障害を反映する変数であることが示唆される.