リハビリテーション医学
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Kleinert法施行時の指伸展力の評価について
岡島 誠一郎奥田 良樹高井 信朗玉井 和夫内座 保弘渡部 欣忍平澤 泰介
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キーワード: Kleinert法, 屈筋腱損傷
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1993 年 30 巻 3 号 p. 201-205

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抄録

手指屈筋腱損傷の一次修復後のリハビリテーションとして現在Kleinert法が広く行われている.しかし指尖の牽引方向によってはDIP関節およびPIP関節の可動域制限が生じるなど解決されるべき問題が残存する.こういった問題に対処する目的で遠位手掌皮線上にpulleyを設置したmodified Kleinert法が考案されている.今回われわれはmodified Kleinert法の改良点を評価するために健常成人男女各5名(計10名)を対象に指尖に加わる張力の大きさ,方向とDIP関節の動きとの関係についてKleinert法とmodified Kleinert法を比較検討した.
pulley設置群(modified Kleinert法)は非設置群(Kleinert法)に比べ大きな関節可動域が得られた.指尖部に加わる回転モーメントは非設置群の方が大きく,DIP関節の伸展とともにその値は増加した.一方pulley設置群では約35°のDIP関節屈曲位にて指尖部に最大回転モーメントが加わり,以後伸展とともにその値は減少した.以上よりmodified Kleinert法が一次修復後の後療法としてより有用であると思われた.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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